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話の話。

個人的に気になった今日のニュース。

悪魔払いされて・・・。

以下抜粋。


悪魔払いされていた病>精神疾患と誤認 遅れる初期治療

毎日新聞 12/25(日) 9:00配信


 医学界で「以前なら悪魔に取りつかれたとして祈とう師が扱っていた」と指摘される病「抗NMDA(エヌ・エム・ディー・エー)受容体脳炎」。ホラー映画「エクソシスト」(1973年、米国)の少女もこの病だったとされる。2007年にこの病が発見され、今でこそ「治る病気」だが、特異な症状ゆえに精神障害の病気を疑われたり、確定診断をするための検査機関が限られていたりして、早期に適切な治療を受けられないケースもある。患者や家族の苦悩をみていく。

 「最初に精神科に行かなかったらどうだっただろうかって思うんです。総合病院に行っておけば良かったって。親としてやはり悔いが残りますよ」

 関西地方に住む患者、洋子さん(仮名、20)の母親(50)はそんな思いに苦しんでいる。洋子さんが激しい頭痛を訴えたのは、高校3年の夏休みだった。その後、会話中に不自然な様子が見られたり、パニックを起こして路上に倒れこんでしまったりして、精神科病院で「急性一過性精神性障害」と診断され、「医療保護入院」が決まった。

 医療保護入院とは、法律が定める精神障害者の強制入院措置だ。入院5日後、洋子さんは呼吸障害を起こし、精神科病院から総合病院に救急車で搬送された。神経内科の専門医の診察で、抗NMDA受容体脳炎に典型的な卵巣奇形腫は確認されなかったが、症状などからこの病気を前提に治療が始まった。不随意運動など特有の症状を呈するなどしたが、治療が奏功し今年5月、2年9カ月間の入院生活を終えた。自宅に戻ったが今も車いす生活を送る。

 抗NMDA受容体脳炎は初期に出る精神症状から「統合失調症」と間違われることが少なくない。洋子さんを診察した精神科病院の医師は取材に「統合失調症の急性発症を疑った」と話した。

 「心の病」と識別するすべはないのか。洋子さんが搬送された総合病院の医師は「脳波検査が決め手になる」という。洋子さんの脳波には明らかな機能低下の所見があった。精神科病院でも、脳波検査は検討されたが「興奮が激しく検査できる状況になかった」と担当医は話す。患者の77%が精神科を受診したというデータもある抗NMDA受容体脳炎。精神科医神経内科の連携が適切な治療には必要だ。

 抗NMDA受容体脳炎の確定診断には、特有の症状以外に抗体(抗NMDA受容体抗体)の検出が必要だ。しかし、抗体の測定に必要な培養細胞やNMDA受容体を安定的な状態に保つには高度な技術が必要で、検査が可能な機関は限られる。海外ではダルマウ教授が在籍するバルセロナ大(スペイン)、ロンドン大など、国内の公的機関では新潟大脳研究所の田中恵子特任講師の研究室だけだ。

 典型的な症状ではないことや検査機関が限られている事情などから、診断確定が遅れたのが関西の専門学校に通う明菜さん(仮名、19)のケースだ。高校1年の13年9月に、何もないところで転ぶなどの症状から、自宅近くの内科で「ギランバレー症候群」の疑いと診断されたが、やがててんかん発作を起こし意識障害が出たため総合病院に入院する。

 退院後の10月30日、近畿大病院で神経内科の診察を受けた。血清を採取し、担当医はカルテに「症状が改善しなければ抗NMDA受容体抗体の測定を検討する」と記した。卵巣奇形腫はないが意識障害や不随意運動などの症状があったためだ。

 明菜さんはその後も「認識解離性障害」や「ベーチェット病」の疑いなどの診断を受ける。姉と東京ディズニーランドに出かけるなど元気な面も見せていたが、14年9月25日、担当医から「抗NMDA受容体脳炎」と告げられた。

 確定診断まで1年間を要した原因には比較的軽症だったほかに、費用の問題がある。抗体の検査機関がきわめて限られるうえ、輸送や検査にかかる費用は大学の研究費でまかなわれている。そのため、緊急の症例以外の抗体測定は一定数まとめて行われる。担当医は「この病気の患者は、多感な青年期の女性が多く、軽症例の診断は難しい。抗体検査も容易ではない」と話す。

 抗NMDA受容体脳炎の治療経験がある大阪医科大神経内科医の中嶋秀人医師は「典型的な症状なら確定診断を待たずに早期治療を始めるが、患者の多くは若い女性。副作用のことも考えれば、抗体検査をできる環境が身近に欲しい」と指摘する。【照山哲史/デジタル報道センター】